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日本とは違う!海外の横断幕・懸垂幕の活用方法  

日本では、野球・サッカーなどプロスポーツの観戦、学校の体育祭や部活動の応援、誕生日や結婚・還暦のお祝いなど、日常のあらゆるシーンで大活躍している横断幕・懸垂幕。

しかし、日本と文化や風習の異なる国や地域では、ほんの少し横断幕・懸垂幕の活用方法が違うことをご存知ですか。

ここでは、同じアジアの島国なのに日本とは異なる横断幕・懸垂幕を活用しているフィリピンについてご紹介します。

 

フィリピンの看板事情

観光や留学などでフィリピンに行かれたことのある方はご存知かもしれませんが、なんとフィリピンの看板サイズは日本の看板とは比べものにならないほど大きく、インパクトと存在感があり、遠くの歩行者や電車・バスなどの利用者にも看板に込められたメッセージをしっかりと届けることができます。

マニラの環状線EDSAには大きなターポリンの幕の看板が立ち並ぶ。
Eugenio Pastoral on Unsplash     

 

フィリピンの看板が大きい理由として、看板自体にお金をかけるスポンサーが多い、ナショナルクライエント ( 主要納入先 ) への予算がとても大きいなどが挙げられます。しかし、一説ではフィリピンは日本と比べて渋滞が多く、屋外で過ごす時間が長いことから、たくさんの人に企業・会社・団体のサービスやプロダクトを分かりやすく大々的に伝える方法として「屋外広告」というのが、日本よりも大きく認知されており人気があるからだとも言われています。そのため、フィリピンの首都・マニラでは非常に大きな看板が都市部や郊外の高速沿いを中心によく大きいサイズの看板が設置されています。

 

日本の看板事情

日本では、1949年6月に看板による地域の良好な景観や風致が損なわれ、住民や通行人に対して危害が及ぶことを防ぐことを目的に「屋外広告物法」が施行されました。さらに、景観行政団体である市町村や歴史まちづくり法に基づく認定市町村では都道府県と協議のうえに定められた「屋外広告物条例」もありますので、屋外広告法と屋外広告条例の両方の要件を満たさなければ、看板を設置することができません。

日本には屋上広告板や壁面看板板など様々な種類の看板がありますが、そのなかでも木枠に「アルポリ (アルポリック)」というアルミ複合板を取り付け、大型インクジェットプリンターで印刷されたデザインシールを張り付けた看板が主流となっています。

日本では、主に中小企業や地元の病院・商業施設などを中心に看板を設置するケースが多く、大きいサイズの看板よりも小さなサイズの看板を集合的に設置する方法が好まれています。フィリピンの看板と比べ、少しばかりインパクトや存在感に欠けますが、お店のある方向に向かって小さな看板をいくつも設置することで通行人の目線を看板へと向けさせつつ、看板を目にした人たちを自然にお店のある方向へと導くことができるメリットがあります。

 

日本とフィリピンでは看板の素材も違う

日本とフィリピンでは、看板のサイズや設置目的のほかにも看板に使用される素材も大きく違います。

日本では、主に「アルポリック」と呼ばれるアルミ複合板を看板の素材として使用していますが、フィリピンではターポリンやメッシュ素材を看板の素材として一般的に使用されています。

ターポリンやメッシュ素材といえば、日本では横断幕・懸垂幕の素材としてお馴染みの素材ですが、なぜ日本とフィリピンでは看板に使用される素材が異なるのでしょうか。

熱帯モンスーン気候のフィリピンでは、日本のように季節が大きく変化することがありませんが、6月~10月の雨季の時期には台風などの自然災害が増えます。そのため、横断幕や懸垂幕のように簡単に取り外しができるタイプの看板のなかでも、とくにターポリンやメッシュ素材の看板は、強風によって飛ばされてしまっても損害を最小限に抑えることができると、たいへん人気があります。

大道路沿いに並ぶ大きなサイズの看板。大きいもので20Mー30Mほどにも達する。

 

また、主要納入先の多いフィリピンでは看板のコンテンツが頻繁に入れ替わるので、日本で主流となっている木枠付きアルポリック看板では何度も印刷と取付けを行わなければならず、非常にコストパフォーマンスが悪くなります。しかし、横断幕・懸垂幕と同じ素材で作られている看板であれば、比較的お手頃な価格で看板を製作することができるためコストパフォーマンスも良く、設置スペースに合わせて看板のサイズを自由に選べるのも魅力のひとつとなっています。

コストパフォーマンスの良さと使いやすさから、いまではビジネスシーンのみならず、結婚式や誕生日のお祝いごと、スポーツ大会やお祭りなどのイベント、商店街やマーケットの集客・販促など幅広いシーンで活躍しています。とくにコストの安いターポリン素材の横断幕・懸垂幕タイプの看板は、マニラのあちらこちらに設置されているほか、マニラ三大商店街では店舗名がデザインされたバナースタンドや店舗前看板などの小さなサイズの看板もたくさん見かけます。また、地元の人たちは防水加工のターポリンをうまく利用して日常の生活にも使用したりと幕の再利用にも長けています。

日本ではあまり聞き馴染みのないターポリンなどの素材ですが、フィリピンではショッピングモールや駅前などに横断幕・懸垂幕専門のプリントショップがたくさんあり、小さな子どもたちのあいだでも「ターポリン」という言葉が浸透しています。

路地裏にもたくさんのプリント屋さんがある。Tarpaulinの表記は横断幕や懸垂幕を指す。

 

個人商店のお店。看板もコスパの良いターポリンが使われたりしている。

 

携帯会社や送金アプリの広告にターポリンが使われたりしている。

 

使用後のターポリンは日除けがわりに。このような景色がフィリピンの路地裏ではよく見られる。

 

横断幕・懸垂幕の活用方法はアイデア次第で無限!

フィリピンでは「横断幕・懸垂幕をつくる」というよりも「ターポリンやメッシュをつくる」といった言い回しができるほど横断幕・懸垂幕が日常生活に浸透しています。

国や地域が変われば、横断幕・懸垂幕の使い方や主な役割だけではなく、価値観も大きく違います。

日本とフィリピン、どちらが正しく横断幕・懸垂幕を使っているのかではなく、それぞれの国で横断幕や懸垂幕、看板が現地の人々のビジネスや生活に貢献できていることがとても大切なことであり、幕づくりの会社としてとっても嬉しいことです!